木造の構造設計3日目

木造の構造設計は、「告示耐力壁」を使う方法と「それ以外」に大別されるといってよいでしょう。これから木造の構造設計もしてみようという方は、ハードルが低い「告示耐力壁」を使う方法から始めるのが良いと思います。

では実際に設計をするにあたって、電算プログラムは何を使ったら良いか。

今では構造計算プログラムメーカーからたくさんの木造構造計算プログラムが発売されています。

私もいくつか使ってみたのですが、いろんな意味で一歩リードしているソフトは「ホームズ君 構造EX」でしょう。

操作方法はJWWに近く、入力画面が分かりやすいこと。計算書が比較的見やすいこと、サポートが充実していること、法改正対応やバージョンアップでどんどん進化していることなどなど、私の事務所も重宝しています。

オプションにはなりますが、「面材詳細計算法」ができるので、NGになりやすい水平構面のせん断耐力を大きな数値で設計することができます。

この機能があるだけでもかなりの効率化を図れます。

複雑な建物でも入力に慣れれば計算することができます。

ただし、基本的に「告示耐力壁」を使う方法だけに対応していると思ってください。46条2項ルートで高倍率耐力壁を使った建物も計算はすることはできます。

木質ラーメンやトラス架構で構成する建物の場合、部材の計算は例えば構造システムが販売している「WOOD-ST」などで計算することはできますが、接合部の検討は手計算になります。

2日目で書きましたが、特殊な木構造の場合接合部で建物耐力が決定されることが多いです。圧縮を負担する部材であれば接する箇所のめり込み耐力、引張を負担する部材であれば金物の引張耐力やビスのせん断耐力など。ラーメン構造柱梁接合部の回転剛性・曲げ耐力など手計算ですることが求められます。

「告示耐力壁」を使わない場合は、必ずと言っていいほど接合部の検討をしなければならいと思ってください。

もちろん「告示耐力壁」を使った場合でも手計算でしなければならない場面はありますが、整形な建物であれば問題ないでしょう。

「告示耐力壁」を使う計算の場合、各社が発売している電算プログラムは一貫計算プログラムとなっており、上部構造・基礎ともに一貫計算されます。

木造は部材数が多いので、構造図を書くのに時間がかかります。

接合金物も構造図に書きますので、慣れるまでは大変かもしれません。

木造はスケールが小さいものが多いため、手間のわりに設計料が安いことが「やり手」が少ない原因の一つと思います。

ただこれからは、カーボンニュートラル社会や建築物のLCC(ライフサイクルカーボン)の証明など、環境にやさしい建築が求められてくることは明らかです。

急に大規模木造を設計することになる前から、小さくて手間もかかるけれど、木造の構造設計に慣れておくことが大切だと思います。


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